社宅を運用する中では、契約の更新作業が必要になります。そこでこちらの記事では、「社宅の契約更新」について解説しています。契約を更新する前に確認することや、社宅の契約更新にかかる費用、更新にともなう手続きの流れなどをまとめていますので、社宅の管理を行っている担当の方はぜひ参考にしてください。
社宅の契約更新とは
「社宅の契約更新」は、契約期間が満了した後にも社員が同じ物件に住み続けられるように、貸主と借主(会社)が契約を継続する手続きを指します。契約更新の手続きを通じて契約内容について再度確認を行い、双方の合意の上で契約を延長することになりますが、更新時には更新料や事務手数料、火災保険の更新などが必要になるケースもあります。
社宅の場合、実際に契約するのは社員ではなく会社であるため、更新の際に必要となる条件の確認や、書類などの対応も会社側が行うのが基本となります。もし更新手続きを忘れてしまった場合には、法的には「法定更新」とみなされることがあり、貸主は正当な事由があればいつでも解約の申し入れが可能な状態になってしまいます。手続きを漏れなく行うことによって、社員の住環境を維持しながら契約トラブルを防げます。
社宅の契約更新前に確認すること
契約期間と更新期限
社宅の契約更新を行うにあたっては、まずは契約期間と更新手続きの期限を確認します。多くの賃貸契約は2年契約となっており、契約が満了する3〜6ヶ月前に貸主(不動産管理会社や大家)から更新に関する案内が届くことが多くなっています。
もし更新期限を過ぎてしまうと、更新条件の交渉や手続きが間に合わなくなってしまう可能性があるため注意してください。人事労務の担当者は、複数の社宅契約を管理しているケースが多いため、Excelなどで「社宅管理台帳」を作成し、それぞれの物件の契約満了日や更新時期について一覧で管理しておくことが大切です。
入居社員の継続意思や異動予定
現在その社宅に入居中の社員に対し、「物件に引き続き住む意思があるか?」という点を確認します。例えば、異動や退職、自己都合での転居を予定しており、社員が社宅からの退去を希望する場合には、更新手続きではなく解約手続きを行う必要があります。
入居の継続意思についての確認は、後々のトラブルを避けるためにも書面やメールなどで行い、記録として残しておきます。
更新後の賃料や契約条件
契約を更新する際には、家賃や管理費などが値上げされるなど、条件が変更されるケースがあります。もし家賃・管理費の値上げを提示された場合には根拠を確認し、必要に応じて物件周辺の家賃相場などを踏まえた交渉を行っていきます。また、そのほかの契約内容も変更が発生していないか確認しておきます。
社宅規定の入居条件
社宅に入居している従業員の現在の状況が、社宅の入居条件を満たしているかの確認も必要となってきます。多くの会社では、社宅規定で「入社3年目まで」「単身赴任中の期間のみ」といったように、利用期間や年齢、役職の制限を設けています。
契約更新を行うタイミングで従業員が規定で定められている内容を満たさない状況となっているにも関わらず更新を行うと、従業員間の公平性を担保できなくなってしまうため、注意が必要です。
社宅の契約更新にかかる費用はだれが負担する?
契約更新で発生する主な費用
社宅更新時に発生する主な費用としては、更新料や更新事務手数料、火災保険料などが挙げられます。更新料は家賃の1〜2ヶ月分、更新手数料は家賃の0.5ヶ月分程度が目安とされています。ただし、更新料は法律で定められている費用ではありません。特に関東圏にて慣習として定着しているものであり、地域によっては更新料が必要ない場合もあります。
会社負担と社員負担の考え方
社宅の場合、契約名義が会社であること、福利厚生のひとつであるといった点から、更新に必要となる費用は会社が負担するという運用を採用しているケースが多く見られます。一方で、社宅規定で「更新料は社員が負担する」と定めている場合などには社員負担にできます。重要なポイントは「誰が負担するか」を曖昧にするのではなく、統一した運用とすることです。
費用負担は社宅規定に明記する
前述の通り、更新料は「家賃の1〜2ヶ月分」が一般的であることなどから、更新に関連する費用は高額になる可能性が大きいといえます。負担に関するルールが曖昧なままだと、従業員とのトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを避けるには、費用負担についても社宅規定に明記しておくことが非常に重要です。あらかじめルール化しておくことにより、従業員とのトラブルや例外対応の発生を防げます。
社宅の契約更新を進める流れ
契約内容と更新条件を確認する
契約更新を進めるにあたり、まずは契約内容と更新条件の確認を行います。ここでは、契約書や更新通知をチェックし、契約満了日や更新期限、更新料、条件変更の有無などを整理しておきます。更新を行う場合には、家賃などの条件が変更されるケースもありますので、しっかりと内容を確認することが大切です。ここで確認漏れが発生すると、後に行う社内承認などの手続きに影響が出てくる可能性があるため注意してください。
入居社員に更新の意向を確認する
契約満了日が迫っている物件に入居している社員に対し、入居を継続する意思があるかを確認します。例えば異動や退職予定がある、自己都合で退去したいなどの場合には、契約を行わずに解約手続きを行います。
社員の状況や意向を早めに把握しておくことによって、不要な手続きや更新費用の発生を防げます。
更新費用を確認して社内承認を得る
更新料や更新手数料、火災保険料などの金額を確認した上で社内承認をとり、支払い手続きを進めていきます。更新にあたって条件の変更等がある場合などは、事前承認を取っておくことにより後の工程をスムーズに進められます。後ほど請求書に基づいて支払いを行うことになりますが、もし遅れてしまうと契約更新を完了することができなくなってしまうため、支払いに関しては経理部門との連携を行っていくことが大切です。
貸主・管理会社へ必要書類を提出する
社宅の更新を行う場合、さまざまな書類が必要になります。契約内容によって異なりますが、更新同意書、入居者の住民票などが必要となりますので、あらかじめ貸主や管理会社に必要書類について確認しておき、案内に沿って準備をしていきます。
更新条件について双方が合意できたら書類一式を準備し、貸主や管理会社に書類を提出します。その後、更新後の新たな契約書に記名・捺印を行います。
契約書や社宅管理台帳を更新する
更新の手続きが完了したら、更新済みの契約書の写しの1部を会社で保管し、もう1部を入居している社員に渡します。契約書の写しを渡しておくことにより、社員自身も住居の契約状況や内容について把握できるようになります。
また、社宅管理台帳も更新しておくことによって、次回更新を行う際の抜けや漏れの防止にもつなげられます。
社宅の契約更新業務を効率化する方法
契約期限を一元管理する
社宅の契約更新業務を効率化するには、それぞれの物件の契約期限(契約満了日や更新期限など)を一元管理することがポイントです。エクセルやスプレッドシートなどを活用して一覧にしておけば、複数の物件を管理していても見落としを減らせます。期限の管理を容易にできるようになると、更新に関連する手続きを前倒しで進めやすくなるというメリットもあります。
社員への確認方法を統一する
社員に更新の意向を確認する際には、メールや社内申請など、記録を残せる方法に統一すると効率が良くなります。確認方法がバラバラだと、後から確認が必要になった場合に該当するデータや書面などを探すのに時間がかかってしまいます。また確認の文面なども定型化しておけば、誰が担当しても同じ対応ができ、確認漏れも防ぎやすくなります。
社宅代行会社へ更新業務を委託する
社宅の件数が多い企業の場合には、社宅代行会社に更新業務を依頼することがおすすめです。更新期限の管理や書類対応、貸主や管理会社との調整といったように、手間がかかる手続きを任せられれば担当者の負担を減らすことができ、他の業務に注力できます。また、専門の会社に依頼することで契約条件の見落としや期限を過ぎてしまうといったリスクも少なくできます。
社宅の契約更新は期限と費用負担の管理が重要
社宅の契約更新を行うにあたっては、更新期限の厳守や費用負担のルールを明らかにしておくなど、いくつかポイントがあります。管理がうまくいかないと契約の失効や不要な更新費用が発生しますし、費用の負担が曖昧になっていると社員と会社の間でトラブルが発生しかねません。社宅規定や社宅管理台帳を十分に整備しておくことにより、更新業務を安定して進めることにつながります。また、管理件数が多い場合などには社宅代行会社への委託も検討すると良いでしょう。
